避難所運営ゲーム(HUG)と小垣江小学校見学

防災情報

概要

標題の件、自主防災会が主催し、去る6月21日(日)午前中、小垣江小学校にて開催しました。自治会役員をはじめ、依佐美中学校ボランティア10名を含む、約70名の皆さんに参加いただきました。

前半は、刈谷防災ボランティアの皆さんのご指導の下、避難所運営ゲーム(HUG)に挑戦。多種多様な方が訪れる避難所運営の困難さを体感しました。後半は4つの班に分かれて、小学校内各拠点を見学。避難者の流れや防災倉庫、災害用トイレの様子などについて、具体的にイメージし課題点を抽出していただきました。

グループワークの様子
校内の見学

学んでいただいたこと

  1. 避難所運営の最大の難所は、入口である事前受付と振り分けである。
  2. 本部や一部の役員だけでは運営できず、避難者自身の協力が不可欠である。
  3. 体育館の収容力、トイレ、プライバシー、備蓄量は、現状のままでは不足する。
  4. 要配慮者対応は単純な分類ではなく、複数の事情を踏まえた継続支援が必要である。
  5. 各家庭の備蓄と在宅避難を基本としつつ、受付・トイレ・物資搬入などの実動訓練を重ねる必要がある。

地域の避難所が抱える現実的な限界を、参加者が自分事として認識していただいたことが、最大の成果と考えます。

アンケート詳細

いただいたご意見について、以下に共有させていただきます。
これらのご意見を元に、避難所レイアウトを見直すとともに、事前に準備できることをより具体化してまいります。

項目要約詳細
■満足度満足度:4.3/5・避難所の現実を具体的に想像できた
・参加者同士で考えられた
・ゲーム形式で分かりやすかった
・地域全体で協力する必要性を感じた
・中学生の参加が有意義だった
■HUGを
 通じた
 気付き
家族構成、家屋の倒壊状況、
障害、外傷、疾病の有無を
短時間で把握して
振り分けることが難しい
・本部や受付に判断が集中する
・即断即決が求められる
・リーダーと役割分担が重要
・判断基準やルールが必要
・避難者自身の協力が不可欠
・数日先を見越す視点が必要
■体育館
 での生活
「長期になった場合、
 かなり過酷」
「プライバシーがなく
 衛生面も悪化する」
・収容スペースが足りない
・プライバシー確保が難しい
・床が硬く休めない
・騒音で眠れない
・多様な人の共同生活が難しい
・防犯対策が必要
・家族が分かれる場合の連絡が必要
■事前受付「事前受付は避難者を
 振り分ける重要な工程で、
 一定の人員配置が必要」
・受付への人員配置が重要
・振り分け基準が難しい
・受付ルールの統一が必要
・受付場所の周知が必要
・待ち時間と混雑対策が必要
・門や進入経路の検討が必要
・実地訓練が必要
■要配慮者
 への対応
「複数の問題を
 抱えている場合の
 優先順位の判断が難しい」
・一律の分類では対応できない
・複数の配慮が必要な人への判断が難しい
・継続的な支援体制が必要
・専門職が必要
・情報伝達への配慮が必要
・精神障害への対応が難しい
・付き添い・寄り添い要員が必要
■トイレ・
 支援物資の
 搬入出
「到底まかなえる数ではない」
「人間の尊厳にも結びつく」
・トイレの数が圧倒的に不足している
・衛生・臭気対策が必要
・要配慮者用トイレが必要
・トイレを我慢して体調を崩す恐れ
・トイレは尊厳の問題
・物資搬入の動線確保が必要
・搬送の人手が必要
・物資管理のルールが必要
・門や道路の制約がある
■防災倉庫「自分たちの分は自分で
 用意しなければならない」
・備蓄品が少ない
・各家庭での備蓄が必要
・防災バッグを見直したい
・倉庫の中身を具体的に知りたい
・必要品を明確にすべき
・在宅避難者も登録が必要
・盗難・混乱への備えが必要
■改善
 すべき点
リーダーを事前指定する案
グループ間の進行差をなくす案
・リーダーを事前に決める
・進行速度を全体で管理する
・全員が発言できる工夫が必要
・マップを見やすくする
・カードの意味を分かりやすくする
・マニュアルや判断基準を整える
・実地シミュレーションを行う
・他の避難所でも実施する
・継続的に訓練する
■今後
 取り上げて
 欲しい内容
「避難場所の選択肢を増やす
 意味でも、中学校に足を
 運ぶ機会が必要」
・防災倉庫の見学
・事前受付の実動訓練
・トイレ設置・運用訓練
・支援物資搬入訓練
・他避難所での訓練(東小、依佐美中)
・クイズ形式の防災学習
・継続的なHUG

避難所運営は、地元被災者自らが運営するものであり、刈谷市が運営するものではありません。一人ひとりの防災意識を高めていただくとともに、発災時は避難所運営にご協力いただけますよう、宜しくお願い申し上げます。

詳細内容

開催目的

数年来、市民館集会室でHUGを実施してきました。「避難所には多種多様な方が押し寄せて、大変なことになる」という危機感は醸成されるものの、「机上訓練のため、イメージが湧きにくい」といった問題もありました。

そこで本年は、実際の避難所となる小垣江小学校体育館で実施。HUGの後、現地見学をして予想されるトラブルをイメージしていただくことにしました。

また、既に設定してある避難所レイアウトをベースに考えること、校内のことに詳しい小垣江小卒業生の皆さん(依佐美中ボランティア)に参加してもらうことなど、工夫を凝らして開催しました。

イントロダクション

まずは「南海トラフ地震発生時の被害想定」について、説明を行いました(👉被害想定をわが町に落し込む)。愛知県だけで、最大2.7万人の方が死亡すると想定されており、刈谷市では8600棟の住宅が、全壊/焼失するという恐ろしい試算です。

次に小垣江を取り巻く状況について説明。小垣江地区には、震度7に達する地盤の弱い地域もあり、標高が低く浸水の危険性があります。さらに河川津波で浸水する危険性もあるのです(👇下図左)。

刈谷市は全住人の1/6が避難所に身を寄せると想定しており、小垣江地区の3つの避難所には計2400人、1か所あたり800人超の方が押し寄せる計算となります。避難所は大変過酷な状況となり、手ぶらで来てもすぐに食事にありつけるような状態ではないのです(👇上図右)。

これらの想定は、やみくもに恐怖感を煽るために提示しているのではありません。自宅の耐震補強や、家具の転倒防止、水や食料品のローリングストックなど、身近な対策をすることで命を守り、在宅避難が可能になるのです。出来ることから、対策を始めてみませんか?

そのヒントとなる、小垣江防災通信は👉こちら

避難所へのアクセスと、避難所の機能

小垣江小学校へのアクセスは、以下の通りとしています。各門はその機能を分け、歩行者と車両を出来るだけ分離するとともに、災害支援物資の搬入、緊急車両の入場を確保するようにしています。

避難所は、何をするスペースでしょうか? 避難所に求められることは、発災直後に身を寄せるためだけの場所ではありません。 ①避難者を如何にスムーズに受入れ、②災害弱者へ対応すること。また③支援物資を配布する拠点となること。そして、④生活の場を提供することが避難所に求められています。

この4つを機能させるための運営が求められているのです。

主な居住スペースとなる体育館での問題

避難所は、”一時的に避難する場所”と捉えられがちです。しかし、倒壊・焼失・浸水により自宅に住めなくなってしまった方にとっては、生活の場となります。皆が被災者となりますので、「お客様」ではいられません。一人ひとりが役割を見つけ、自主運営していくことが大切になってきます。

主な居住スペースとなる体育館における問題は、①居住スペースが限られること(最大180名)、②トイレの不足が予想されることです。

後述する備蓄倉庫には、3.6×5.4mのブルーシートが備蓄されています。この上で、老若男女10名が生活をすることになるのです。一人当たり1畳と考えれば、如何に狭いかお分かりいただけるでしょう。なお、政府の基準では、一人当たり3.3m2以上(一坪)のスペースが必要とされています。そうなると、体育館に90名の方しか居住出来ないのです。

1人当たりの生活スペース

トイレは、切実な問題となります。以下に示すように、180人が入るとすると、圧倒的に数が少ないのです。また、排泄される汚物の量も膨大であり、これを校庭北側の汚物置き場まで、毎日運ばねばなりません。

トイレは大混雑!
排泄物の量も大変!

事前受付けと、災害弱者への対応

①被災者をスムーズに受入れるため、最も重要なkことは、事前受付けにて人の流れを分けることです。特に「発熱者」においては、感染拡大を防止するため、導線を分け北舎3Fに隔離するような形になります。

要配慮者については、その区分が難しいのですが、健常者とともに行動が出来る方は体育館へ。障がいの程度が重い方は、北舎1Fへ誘導します。

ケガ人は中舎1Fの「医療チームエリア」に誘導。医療チームエリアには、地域のお医者様が参集することになりますが、必要十分な手当てが受けられるとは限りません。軽度な手当ては、ご自身でできるように準備しておくことが望ましいと思われます。

なお北舎、中舎とも、トイレや食料配布場所からの距離は遠くなり、不便を強いることにならざるを得ません。重度の要配慮者においては、病院や福祉避難所へ移送されることになるでしょう。

防災倉庫の中身

防災倉庫の中身についても、見学していただきました。
その内容については、こちらを参照下さい。

防災倉庫には、発災直後に来た身を寄せた300名×2食分しか、食料・水の備蓄がありません。
手ぶらで避難所に来ても、すぐに食料にありつける訳ではないのです。
各自避難袋を用意し、「自分の食料・水は持参する」と考えて下さい。

災害支援物資の受け入れ~仕分け・保管~配布

前述したとおり、防災倉庫には、発災直後を凌ぐためだけの物資しか備蓄されておりません。そのため、他拠点から運び込んだ支援物資を、①受け入れ、②仕分け・保管し、③配布する機能が必要となります。

小垣江小学校においては、正門前駐車場にて車両を受け入れ、荷下ろしをして「かもめホール」に保管します。配布については、避難所内にいる方と在宅避難者への配布、両方の機能を果たさねばなりません。

(文責:自主防災会副会長 稲田)